JN/JAC3586便 高知→福岡
高知ラストフライト
YS-11のラストフライトは、以前から「9月30日」とアナウンスされ続けてきた。もちろん、それは間違いのないことである。しかし、JACが最終的にアナウンスしたのは、2006年9月30日のラストフライトは、鹿児島から沖永良部、沖永良部から鹿児島を運航して終了する、というもので、当初予想された福岡〜鹿児島や、高知〜福岡ではなかった。
これらの路線については、福岡〜鹿児島線は当日臨時設定のJAC3967便(12時10分発)を運航、一方高知〜福岡線は前日までの運航となり、高知線は9月29日を以って運航終了することになった。同じ運命にあるのは松山〜福岡線で、29日までで運航を終了させるとなっている。
ちなみに、1965年の旧JAS系のYS-11の初就航路線は、東京〜大阪のような幹線ではなく、東京〜徳島〜高知線で、高知は実はYS-11に非常に縁のある空港であった。1990年代前半までは、大阪〜高知線に無数のYS-11が飛んでおり、当時を知る人は、高知空港のエプロンにYS-11が4機並んだこともあったと言う。

高知空港に到着し、スポットに向けてタキシング中のJA8768




ポスターには高知空港が1日前に最終日を迎えることが示されていた
高知からのラストフライトは、7月15日に「お帰り確約」で押さえることを考えたのだが、結局席がブロックされており、7月29日の発売と同時に、当サイトの共同運営者の平井氏の分と共に確保した。高知からのラストフライトは、大阪近郊在住の私には、半日仕事を休めば搭乗できてしまうフライトである。
29日午後、大阪伊丹空港を定刻に離陸したA-NetのDHC-8は、一路高知へと向かう。往年のYS-11の高頻度運航を思わせるフライト数を誇る路線だが、YS-11と比較するとトラブルも多いと聞く。実際、この路線は一度ジェット化されたのだが、結果的にジェットでは収益性が悪かったようで、再びプロペラ機、DHC-8に戻された。
このフライトに搭乗するときに、初老の女性がDHC-8の前にバスが停車するとつぶやいた。

YS-11よりも小さいのね

実際はYS-11よりも大きいのだが、こんなところでもYS-11の名前が出てくるのは、YSファン冥利に尽きる。おそらくその初老の女性は、航空ファンでも何でもないと思うのだが、その方ですら「YS-11」という飛行機を知っているのだから、どれだけのインパクトのあった飛行機か、ということであろう。



トラブルを起こすことなく高知空港にDHC-8で無事到着。ほとんどこのフライトは「移動手段」でしかない。高知空港で荷物を引き取り、一度セキュリティエリア外に出て、今度はJALのカウンターへと向かった。
チェックインカウンターでYS-11のフライトにチェックインしたが、すでに通路側しか空いていない状態。仕方が無いので14Cという通路側のシートを確保した。そのまま送迎デッキに上がる。入場料100円、ところどころレンズ穴が切ってあるだけで、金網の中である。平井氏と合流し、YS-11の写真撮影の練習を、DHC-8やCRJ、767などで適当にする。到着時間が近づくと、ギャラリーも増えてきたのだが、その中に8月の沖永良部撮影で知り合ったF氏の姿も。挨拶を交わし、沖永良部で撮影した記念写真を頂いた。
エアバンドラジオを聴いていると、いつもの 「び〜〜〜〜〜ん」という音の混じった交信が聞こえてくる。これでYS-11のフライトということはすぐに分かる。
RW32からの進入を選択し、カーブを描いていつもと同じ着陸進入をして来る。この姿が見られるのも、今日、この瞬間が最後。RW32に着陸し、T-4誘導路を経由してスポットに入った。今日の高知最終便に使用されるのはJA8768/#2147。インドネシアから1977年に里帰りした機体である。YS-11にとって、最後の高知空港着陸だった訳だ。スポットに入って、タラップが出るのを確認してターミナルに戻り、セキュリティチェックを通過する。

セレモニー用の横断幕。おそらく各空港1枚で用意されているらしい。




中村機長と上村先任CAへ花束贈呈
ちょうどセレモニーの準備をしていたが、大規模なセレモニーではなく、かといって押さえるところは押さえているセレモニーであった。横断幕を広げて、司会の地上職員の方がYS-11と高知との関係、今日のラストフライトのことなどを説明した後、JAL高知空港所から、今日のPIC、中村機長と、上村先任CAに花束贈呈が行われた。こういうところで、マスコミの皆さんもちゃんと列を作って撮影していたのだが、 月刊エ●ラインの某カメラマンだけが ルールやぶり。まあ、こんなカメラマン雇ってるようじゃ、まともな雑誌は作れませんわな。

搭乗開始になり、YS-11へと向かうのだが、途中で横断幕を持った職員が待っていた。その前を通り、機体の前に行くと、やはり毎度の撮影大会。高知空港支店の係員の方が「お名残惜しいのは分かりますが、出発時間を過ぎておりますので・・・」という声に促され、少しずつ客室へと向かう。私も機内へと向かった。 すでに日が落ちかかっているので、撮影できるというには程遠い状態でもあった。
さて、乗ったはいいが、今日は伊丹で高知発のチェックインができなかったので、通路側しか確保できなかった。隣は知らない人だが、撮影するのに窓を貸してください、と言えば貸してくれそうな雰囲気はあったので、結構のんきに構えていたのだが、前からこれまた8月の沖永良部での撮影で知り合ったH氏がやってきた。聞いてみると「15D」と言うので、15Cの方に席を替わってもらえるか聞いたところ、快く替わって下さった。あの時、お名前もお聞きせず失礼をいたしましたが、この場を借りてお礼申し上げます。
さて、撮影大会こそ結構遅くまで続いてしまったが、この便の乗客、いつも沢山乗っているマナーの悪い、いわゆる「マニア」がほとんどいない感じで、種子島のラストフライトに居た「セキュリティチェックでごねたマニア」や5月11日のJA8788ラストフライトで客室後方に陣取って「写真撮影をずっと続けたマニア」のような人は居ない状態。マナーを守ってフライトを楽しんでいる様子であった。



定刻より16分遅れでドアクローズ。元々が10分遅れでの到着、そしてラストフライトということを考えたら、結構優秀な出発時間である。たいていラストフライトは20分、30分の遅れが出る。16分遅れであれば、福岡には10分遅れくらいで到着できるからである。高知空港所の作戦成功、と言ったところか。
今日のクルーは、中村機長、森田コパイ、客室は上村先任CA、竹之内CAの通常通りの4名乗務。これに警備搭乗のJACの職員が8Bに座る。どうも9月11日のツアーで、JA8717号機のコンソールパネルの蓋の部品を盗んだマニアが出たそうで、それ以降この警備搭乗が始まったとか。貴重なラストフライトの1席は、このマニアのせいで埋められてしまったのである。

18時14分、RW14に進入。18時15分、22秒の滑走の後エアボーン。YS-11が二度と来ることのない高知を離れた瞬間であった。太平洋上で右旋回し、左手に高知市が見えるようになると、さらに右旋回。松山、岩国の上空を通過するコースを取るらしい。

18時29分、高度10000ftでレベルオフし、ベルトサイン消灯。ここから機内サービス開始で、ドリンクサービスが行われる。毎度のコールドドリンク中心のサービスで、スカイタイムをもらった。おそらくYS-11機内でドリンクが飲めるのも、あと1回か2回であろう。

搭乗する前に撮影しようと乗客の人だかりが




ドリンクサービス中。YS-11はトレイでのサービス
18時54分、上村さんのアナウンスの後、今まで毎月11日限定で配布されていた搭乗証明書が配布された。開けてみると、何と機長、コパイ、2名のCAの皆さんの直筆サインが入れられたものであった。忙しい中、こんなことまで準備してくれたクルーには脱帽ものである。
さらにうちわ、絵葉書も配布されるなど、結構盛りだくさん。機内の後方に陣取って撮影するお客も皆無、そして客室や機内サービスを撮影するフラッシュが時折光ることがあっても、かなり控えめな写真撮影が続く。ラストフライトなのに、皆さんすごくマナーが良かったのである。ナイトフライトだったこともあるのかもしれないが、マナーの良さがきらりと光った。
さすがに高知から福岡という区間だけに、間もなくフライトは終わろうとしていた。19時06分、ベルトサインが点灯。YS-11の場合、少しはやめのベルトサイン点灯になる。19時11分、あと10分で着陸のアナウンスと、福岡の天候情報が伝えられた。19時17分、定刻の7分遅れで福岡空港RW16に着陸した。着陸後、上村さんの心の篭った、長い機内アナウンスが入れられた。現場のクルーにも、乗客にも愛されたYS-11だったんだな、と感動するアナウンスであった。
今日ご一緒した4名のクルーは、今日のこのフライトがYS-11のラストフライトとのこと。久しぶりに印象に残る、いい機内アナウンスであった。そして、唯一若手中心で運航されたラストフライトだったようである。



スポットインした後、降機時に何枚か撮影。中村キャプテンもコックピットから顔を出して手をふってくれたり、サービス満点。マナーを守る航空ファンが多かったら、こんないいラストフライトになるんだ、と思わせるフライトであった。

手を振ってくれる中村機長




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